
こどもたちに、何を伝えていくのか
「挨拶をする」
「ありがとうを言う」
「人に何かしてもらったら、そのことを覚えておく」
「誰かが嫌な思いをしていたら、自分には関係ないと通り過ぎない」
どれも、特別難しいことではありません。
けれど、子どもたちにとっては、誰かに教えてもらわなければ身につかないこともたくさんあります。
先日、子どもたちとの関わりの中で、挨拶について考える出来事がありました。
私は、挨拶というのは単なる礼儀作法ではないと思っています。
「おはよう」と言うことは、相手の存在を認めることでもある。
「ありがとう」と言うことは、自分のために何かをしてくれた相手の存在に気づくことでもある。
誰かに親切にしてもらったとき、「自分は何もしていないから関係ない」ではなく、
「この人は、なぜ自分にこうしてくれたんだろう」
と考えてみる。
そういう小さな積み重ねが、人と人との関係をつくっていくのではないかなと思うのです。
もちろん、子どもたちはまだ発達の途中で
相手の気持ちを想像することが難しい子もいるし、衝動的に行動してしまう子もいる。
だからこそ、大人が伝えていく必要があります。
「できないから仕方ない」
「発達障がいだから仕方ない」
で終わらせるのではなく、
「どうしてこうしたんだろう」
「相手はどんな気持ちだったかな」
「次はどうしたらいいかな」
と、一緒に考えていく。
それは、子どもを責めることとは違います。
むしろ、子どもがこれから誰かと関わりながら生きていくために必要なものを、大人が一緒に育てていくことなのだと思います。
今は、「個性を大切にすること」や「その子らしさを尊重すること」が、とても大切にされています。
私も、それは本当に大切なことだと思います。
でも、その子らしさを大切にすることと、人として大切なことを教えないことは、同じではないと思うのです。
「挨拶をする」
「ありがとうを伝える」
「人を傷つけたら謝る」
「誰かが困っていたら考えてみる」
「自分とは違う人の気持ちを想像してみる」
それらは時代が変わっても、人と人が一緒に生きていくために必要なものなのではないでしょうか。
そして、それを子どもたちに伝えるのは、大人の役割でもあると思っています。
子どもは、まだ知らないだけかもしれない。
どうしたらいいのかわからないだけかもしれない。
だから、何度でも伝える。
できなかったことに着目するのではなく
できるようになるために一緒に考える。
その繰り返しの中で、子どもたちは少しずつ「人と関わる」ということを覚えていくのだと思います。
いつか大人になったとき、
「あのとき先生に言われたな」
と思い出してくれたら、
それで十分なのかもしれません。
私たち大人が子どもたちに渡せるものは、
知識だけではないと思っています。
知識なんかよりももっと大切なこと。
人を思いやること。
自分とは違う誰かを想像すること。
してもらったことに気づくこと。
そして、自分も誰かに優しさを返していけること。
そういう目には見えないものこそ、子どもたちのこれからの人生を支えるものになるのだと思います。
人と人との間にある、
当たり前だけれど大切なことは
こどもたちにずっと伝え続けていきたいなと。
人を大切にするということは
自分自身の人間関係も豊かにすると思うからです。